コンクリートブロック塀の設計規準について

Concrete Block

コンクリートブロック塀の設計規準

※コンクリートブロック塀の設計にあたっては、日本建築学会編「壁式構造関係設計規準集・同解説(メーソンリー編)2006年改定」に準じて設計をお願いします。

コンクリートブロック塀設計基準

コンクリートブロック塀の設計基準は、建築基準法に定められていますが、最小限の規定にとどまっています。より詳しい設計検討を行う時は、(社)日本建築学会「コンクリートブロック塀設計規準」が大変参考になります。学会規準は、建築基準法より厳しい仕様で、様々な条件に対応可能です。

建築基準法施行令 一部参照

    (へい)第62 条の8 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2メートル以下の塀にあっては、⑤及び⑦を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、(国土交通大臣が定める基準に従った)構造計算又は実験によって構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りではない。

  • ①高さは、2.2m以下とすること。
  • ②壁の厚さは、15cm(高さ2m以下の塀にあっては、10cm)以上とすること。
  • ③壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径9mm以上の鉄筋を配置すること。
  • ④壁内には、径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置すること。
  • ⑤長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの5分の1以上突き出したものを設けること。
  • ⑥③及び④の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあっては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあってはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の40倍以上の基礎に定着させる場合にあっては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
  • ⑦基礎の丈は、35cm 以上とし、根入れの深さは30cm以上とすること。

コンクリートブロック塀設計規準・解説

1. 設計規準の重要性

本規準は、コンクリートブロックを組積して鉄筋で補強するコンクリートブロック塀(以下、ブロック塀という)に適用する。 ブロック塀は、屋外に建設し、住宅その他の建物の外構として敷地内環境の保護を目的とするものであるので、きわめて強固で安全性の高いものでなければならない。 本来、ブロック塀は強固にでき得るが、その工法があまりに単純であることから安易に建設され、その結果、地震時などに倒壊して人身事故が発生している。このことは、ブロック塀の耐力はどのように発揮されるものであるか、またコンクリートブロックやモルタル、またはコンクリートはどういう性質を持つものかについて、設計・施工する者の十分な知識と責任感の不足によるものと考えられる。したがって、設計・施工者が建設に保証責任を負うシステムを確立し、これによってこの規準が十分に効力を発揮できるようにすることが、今後の重要課題である。
現在、ブロック塀は全国いたる所に普及しており、災害時の倒壊防止は重要である。その問題点と過去の被害状況について概略を述べる。

(1)ブロック塀が建設される理由

  • a. 都市の宅地の狭小過密化に伴い、敷地境界の確保と隣家・外部からの視線遮断
  • b. 防火・遮風・遮音・防犯
  • c. 強度・耐久性があり、建設費が比較的安価

上記の理由は、そのすべてが並立するものではない。 構造設計上は、特にc. の期待に答えることが重要である。

蛇の目ブロックは強くて安全なブロック塀を促進しています。 ── (社)全国建築コンクリートブロック工業会会員 http://jcba-jp.com/

1条 適用の範囲

  • 1. 本規準は、2条に規定する建築用コンクリートブロック(以下、ブロックという)を目地モルタルを用いて組積し、鉄筋および充填コンクリートまたはモルタルにより補強した壁体によって構成されるコンクリートブロック造の塀(以下、ブロック塀という)で、市街地における建築物に付属して建設されるものに適用する。この種の塀の想定外力のうち地震力については全国的に発生するもの、風圧力に関しては、平成12年建設省告示第1454号に定められている、市街地区域に相当する地表面粗度区分ⅢおよびIVの地域に生ずるものを対象としている。建築物に付属する以外の塀や、地表面粗度区分IおよびⅡの地域に建設する塀は、それに応じた特別な対応が必要である。
  • 2. ブロック塀は、壁体に使用するブロックの種別により、補強コンクリートブロック造の塀(空洞ブロックを使用したもの、以下、補強ブロック塀という)および型枠コンクリートブロック造の塀(型枠状ブロックを使用したもの、以下、型枠ブロック塀という)に分類する。
  • 3. 本規準に規定のない事項は本会編「補強コンクリートブロック造設計規準」および「型枠コンクリートブロック造設計規準」による。
  • 4. 構造計算、実験またはその他特別な調査研究によって、地震力および風圧力に対し、安全であるように設計されたブロック塀については、本規準の一部を適用しないことができる。
  • 5. 風圧力が特に大きいと想定される地域、または、盛土など地盤が特に軟弱な敷地におけるブロック塀については、その構造・規模などに応じて十分安全であるように、対策を講じなければならない。

2条 材料の品質

1. ブロックは、JIS A 5406(建築用コンクリートブロック)の規定に適合するもの、またはこれと同等以上の品質を有するものとする。

解説表2-1 ブロックの種類および記号

断面形状
による区分
外部形状
による区分
寸法精度による
区分(記号)
圧縮強さによる
区分の記号
透水性による区分
(記号)
化粧の有無による
区分
空洞ブロック 基本形ブロック、
異形ブロック
標準精度ブロック、
高精度ブロック(E)
08またはA
12またはB
普通ブロック あり、なし
16またはC
20
25
30
普通ブロック、
防水性ブロック
型枠状ブロック 20
25
30
40

ブロックは、断面形状により空洞ブロックおよび型枠状ブロック、外部形状により基本形ブロックおよび異形ブロックに区分される。なお、圧縮強さによる区分の記号は、08をA、12をB、16をCとしてもよいことになっている。
異形ブロックとは、隅用、半切、横筋用などの用途によって外部形状の異なるブロックの総称であり、近年使用実績が伸びている基本横筋兼用ブロックも異形ブロックである。また、化粧ブロックとは、着色、塗装、研磨、切削、洗い出し、たたき、スプリット、スランプ、リブ付きなど意匠上有効な仕上げを施したものをいう。
一方、透かしブロック、かさ木ブロック等はJISの規定外のものであり、その品質がJIS A 5406と同等以上であることを確認するとともに、適切に配筋できる形状であることを確認して使用する。
2. 鉄筋は原則として、JIS G 3112(鉄筋コンクリート用棒鋼)に定めるSD 295 AおよびSD 345、ならびにJIS G 3117(鉄筋コンクリート用再製棒鋼)に定めるSDR 295に適合するものとする。鉄筋の径は原則としてD16以下とする。
3. 壁体の目地および空洞部の充填に使用するモルタルの4週圧縮強度、およびに空洞部の充填その他に使用するコンクリートの設計基準強度は、18N/mm2以上とする。
4. 金属製フェンスは、JIS A 6513(金属格子フェンスおよび門扉)の規定に適合するもの、またはこれと同等以上の品質を有するものとする。

3条 ブロック塀の規模

    1. 設計規準の重要性

  • (1)ブロック塀は、ブロック造壁体(以下、ブロック壁体という)、基礎および控壁または控柱より構成する。
  • (2)控壁または控柱は、ブロック塀の規模により設けないことができる。
  • (3)ブロック塀を控壁または控柱を有するもの(控壁・控柱付き塀)と、控壁または控柱を有しないもの(控壁・控柱なし塀)とに分類する。
  • 2.ブロック壁体の厚さ

  • ブロック壁体の厚さは120mm以上とする。 ただし、高さ2mを超えるブロック塀にあっては150mm以上とする。
  • 3.ブロック塀の高さ

  • ブロック塀の高さは、ブロック塀の形式および4項に示す基礎の形状ならびに基礎周囲の土質により表1に示す数値以下とする。

表1 ブロック塀の高さ(m)

塀の高さは地盤面から測る。高さの測り方を解説図3-1に示す。
原則として低位の地盤からの数値をとる。
JIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)規格のU字溝は耐力が確認されているので、塀の高さはU字の上端から測ることができる。簡易な側溝は地震時の転倒しようとする塀による側圧に耐えられないので、塀の高さは溝底から測る。一般に、塀の転倒を抑制するのは、控壁の有無、基礎の断面形状と基礎周囲の土の締固め具合であるので、表1のように塀の形式、基礎の形状(後述)および、基礎周囲の土質から、建設できる塀の高さを規定している。
塀の最大高さは2.2mとする。これは建築基準法施行令の規定と同じで、通常のブロック造壁体では2.2mを超える塀に対しては適切な補強が困難であることによる。塀の許容高さは、塀の転倒に対する強さで決まる。基礎スラブのない布基礎(I形基礎)は転倒に対する抵抗力が小さい。基礎形状を逆T形(断面が逆T形)、またはL形とすると抵抗力が上昇する。表1には改良土による塀高の割増し規定があるが、改良土とは、基礎の周囲をコンクリートなどで固めた場合、またはそれに準ずる堅固な埋戻しをした場合を指している。基礎周辺の土が固いと塀の転倒は大きくなる。基礎周囲を特に固めた場合は、塀の高さ限度を、2.2m以下の範囲で増すことができる。

型枠ブロック塀では、補強ブロック塀に比べて重量が大きいので、根入れは100mm増加する規定となっている。解説表3-1に補強ブロック塀の場合の塀高さと最小根入れ深さの数値の例を示す。

解説表3-1 補強ブロック塀の場合の塀高さ(m)と最小根入れ深さ(mm)

塀の高さ(m) 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2
I 形基礎(mm) 350 400 450 500 550 600
逆T、L形基礎(mm) 350 350 350 350 400 450

[注]型枠ブロック塀の場合は100mm増しとなる。

4条 基 礎

1. 基礎の形状

基礎の形状は3条による。ただし、鋼管杭基礎の形状は本条3項による。

2. 基礎の配筋

  • (1)ブロック壁体、控壁および平門柱の布基礎は上下に各D10以上の主筋を配置した複筋梁とする。
  • (2)布基礎には、D10以上のあばら筋を500mm以下の間隔で配置し、主筋に180°フックでかぎ掛けする。
  • (3)基礎スラブ部分のベース筋は、D10以上の鉄筋を500mm以下の間隔で配置し、その先端にD10以下の配力筋を配置する。
  • (4)L形基礎のあばら筋およびベース筋は、D10以上の鉄筋をL形に曲げて配置することができる。
  • (5)控壁、控柱ならびに門柱の主筋は、基礎に定着させる。
  • (6)控壁、控柱ならびに門柱の基礎と接合するブロック壁体の布基礎の主筋は、通し配筋とするか、それらの基礎に定着させる。

3. 布基礎の形状

  • (1)ブロック塀の壁体下部には、壁体を安全に支持する鉄筋コンクリート造の布基礎を設ける。ただし、布基礎の立上がり部分を型枠コンクリートブロック造とすることができる。
  • (2)布基礎は、控壁のある場合は控壁下の基礎と一体となるように設ける。
  • (3)布基礎の標準形状は、図1および表2による。
  • (4)布基礎立上がり部分に使用する型枠状ブロック(以下、型枠ブロックという)は、防水性を有するものとし、充填コンクリートの厚さはブロック壁体の厚さより30mmを引いた数値以上とする。

表2 ブロック塀の布基礎の形状および標準寸法

基礎の形状 根入れ深さ
Df(mm)
基礎のせい
D(mm)
立上がり
部分の幅
b(mm)
基礎スラブの
張出し幅
s(mm)
基礎スラブ
の幅
B(mm)
基礎スラブ
の厚さ
e(mm)
I形 ブロック塀の種別
および基礎形状に
より表3または次
項に定める値以上
Df+50程度 壁厚t以上 - - -
逆T形 立上がり部分の両側に各130以上 b+260以上 150以上
L形 立上がり部分の片側に400以上 b+400以上

(5)布基礎の根入れ深さDfは、次項による場合を除き、表3による。

表3 布基礎の根入れ深さDf(mm)

4.鋼管杭基礎工法

  • (1)杭に使用する鋼管はJIS A 8951(鋼管足場)に規定される単管足場用鋼管で外径が48.6mm、厚さ2.5mmで亜鉛メッキされているもの、およびそれと同等以上のものとする。
  • (2)布基礎は鉄筋コンクリート造とし、その形状および杭の配置は表14、表15ならびに図3による。
  • (3)杭の打設に際し、杭先端にパイプ用キャップを取り付け、鋼管内に土が入らないようにする。
  • (4)鋼管の内部にはモルタルを充填する。充填モルタルの調合はセメント/砂容積比が1/2程度で、流動性に富むものとする。

表14 鋼管杭基礎の標準形状

基礎の形状 根入れ深さDf(mm) 基礎のせいD(mm) 立上がり部分の幅b(mm)
I形基礎 300以上 350以上 t+40以上かつ160以上

[備考] t:ブロック壁体の厚さ

表15 鋼管杭の標準配置

杭頭の定着長さ e(mm) 打設間隔 p(mm) 打設深さ l f(mm)
100以上 800以下 750以上*

*打設深さは布基礎下端から測る。

  • (5)打設に先立ち、試験杭で貫入抵抗を確認し必要長さを決定する。打設時に十分な貫入抵抗が認められる場合は、表15にかかわらず打設深さは500mmまで減ずることができる。また、貫入が1200mmを超えても十分な貫入抵抗が認められない場合は、本基礎工法は適用できない。
  • (6)布基礎の配筋は前項の規定による。

5.控下基礎工法

控壁または控柱の下の基礎を布基礎より深く根入れする場合(控下基礎工法という)は、布基礎の根入れ深さDfを300mm(型枠ブロック塀では400mm)以上とするとともに、図2に示す控下部の根入れ深さDpは表4によることができる。ただし塀の高さが、I形布基礎を用いるものにあっては1.2m以上、逆T形またはL形布基礎を用いるものにあっては1.6m以上のものに適用する。

表4 控下基礎工法における控下基礎の根入れ深さDp(mm)

布基礎の形状 I 形基礎 逆T形およびL形基礎
補強ブロック塀 450以上、かつ(H-500)/1.6以上 450以上、かつ(H-1300)以上
型枠ブロック塀 550以上、かつ(H-300)/1.6以上 550以上、かつ(H-1200)以上

[注]H:ブロック塀の高さ(mm)。 控下基礎部分の見付け幅Bpは200mm以上とする。

型枠ブロック塀では控壁下は約100mmの根入れ増となる。解説表3-2に補強ブロック塀の場合の控下基礎の根入れ数値例を示す。

解説表3-2 補強ブロック塀における控下基礎工法の控下最小根入れ深さ(mm)(10mm未満切上げ)

塀の高さ(m) 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2
I 形基礎 450 570 690 820 940 1070
逆T、L形基礎 450 500 700 900

[注]型枠ブロック塀の場合は約100増しとなる。

6. 鋼管杭基礎工法によるブロック塀

補強ブロック塀において、布基礎の下部に7条による鋼管杭を打込む基礎工法による場合は、布基礎の根入れは300mm以上とするとともに、ブロック塀の高さは1.6m以下とし、控壁を設けないことができる。

7.門柱の基礎と高さ

(1)補強ブロック塀の門柱の基礎は、厚さ150mm以上の基礎スラブを4周に130mm以上張り出して設けることを原則とし、その根入れ深さは門柱の高さが1.4m以下では400mm、1.4mを超える場合はその高さおよび接続するブロック壁体の布基礎の形状に応じて表5に示す数値以上とする。ただし、敷地の関係で基礎スラブの張出しを設けられない場合は、根入れ深さは表6の数値以上とする。

表5 張出し130mm以上の基礎スラブを有する補強ブロック塀の門柱の最小根入れ

門柱の高さHp(m) 1.4<Hp≦1.6 1.6<Hp≦1.8 1.8<Hp≦2.2
布基礎の形状 I 形 逆T、L形 I 形 逆T、L形 I 形 逆T、L形
根入れ深さ(mm) 普通土 450 400 550 450 700 650
改良土 400 400 400 400 550 500

表6 張出し基礎スラブのない補強ブロック塀の門柱の最小根入れ

門柱の高さHp(m) 1.4以下 1.4<Hp≦1.6 1.6<Hp≦1.8 1.8<Hp≦2.2
布基礎の形状 I 形 逆T、L形 I 形 逆T、L形 I 形 逆T、L形 I 形 逆T、L形
根入れ深さ(mm) 普通土 550 400 600 500 700 600 - -
改良土 400 400 450 400 500 450 600 550

(2)型枠ブロック塀の門柱の基礎の根入れ深さは、表5、表6に規定する数値に、布基礎がI 形では100m m、逆T、L 形では50mmを加算したもの、かつ500mm以上とする。

5条 ブロック塀の構造

1. ブロック塀の構造

(1)ブロック塀の高さが、1.2m(3条および5条の規定に適合する場合は1.6m)を超えるものは、ブロック塀の長さ3.4m以下ごとに、基礎およびブロック塀に接着する控壁、または控柱を設け、かつブロック塀の端部より800mm以内に控壁または、控柱などを設け補強する。
(2)ブロック塀は原則として、長さ30m以下ごとにエキスパンションジョィントを設ける。

(3)ブロック塀が交差する場合は、その交差角がブロック塀の直角方向に対し45°以下で、かつ交差角によりブロック塀の長さが400mmから600mm以上の場合は、控壁と同等とみなすことができる。

(4)同一面内で高さが異なるブロック塀の構造は、高いブロック塀の長さがブロック塀の長さの過半を超える場合は高さが高い方の規定によるものとし、かつ高さが変化する部分は、縦横ともD13以上の鉄筋で補強する。
(5)透かしブロックは、縦筋が挿入できる形状のものとし、2個以上連続して配置しないものとする。また、ブロック塀の最上部・最下部および端部に配置してはならない。
(6)かさ木ブロックは、縦筋が空洞部内に定着できる形状のものとする。
(7)ブロック塀は土に接して設けてはならない。ただし、土に接する部分の高さが400mm以下でその部分の耐久性、安全性を考慮した場合は、この限りではない。

2. 控壁・控柱・門柱

(1)控壁の構造は次による。
(a)鉄筋コンクリート造またはブロックを使用した構造とする。
(b)壁面より400mm以上突出し、その厚さはブロック壁体の厚さ以上とする。高さはブロック塀の高さより450mm以上下げてはならない。
(c)ブロックを使用した構造とする場合は、フェイスシェルの厚さは30mm以下とする。空洞部にはすべてコンクリートまたはモルタルを充填する。
(2)控柱の構造は、次による。
(a)現場打ち鉄筋コンクリート造とする。
(b)断面短辺の正味厚さは250mm以上とし、高さはブロック塀の高さと同一とする。
(3)ブロック造による門柱の構造は次による。
(a)門柱ブロックを使用した構造とする。
(b)門柱は、角門柱と平門柱の2種類とし、門柱水平断面において長辺の長さに対し短辺の長さが75%以上あるものを角門柱、他を平門柱という。
(c)門柱の高さは、2.2m以下とする。
(d)角門柱の断面短辺の正味厚さは260mm以上、フェイスシェル肉厚は25mm以上とし、空洞部の数は4以上、空洞部の幅は90mm以上とする。
(e)平門柱の断面短辺の正味厚さは180mm以上、フェイスシェル肉厚は25mm以上とし、空洞部の数は3以上、厚さ方向の空洞部の幅は90mm以上とする。
(f)門柱ブロックの空洞部にはすべてコンクリートを充填する。
(4)控壁・控柱・門柱は、ブロック塀と一体となる構造とする。

3. その他

(1)既設のブロック塀には上部に増設計画がある場合を除き増積みしてはならない。
(2)既設のブロック塀に連続してブロック塀を長さ方向に増設する場合は、原則として接合部をエキスパンションジョイントとする。
(3)高さ1m以上の鉄筋コンクリート造などの擁壁の上部にブロック塀を設ける場合は、その高さは1.2m以下とする。
ただし擁壁の高さが1m未満の場合には擁壁下部の地盤面より2.2mまでブロック塀を設けることができる。
ブロック塀は擁壁の施工と連続して行い、縦筋を擁壁に十分定着しなくてはならない。
(4)ブロック壁体に出入口などの開口部を設ける場合は、安全上支障のない構造としなければならない。

6条 ブロック塀の配筋

1. ブロック壁体に挿入する縦筋および横筋は、D10以上の異形鉄筋とする。 縦筋間隔は表7に示す数値以下とし、横筋間隔は800mm以下とする。

表7 ブロック塀の縦筋間隔

控壁・控柱 ブロック塀の高さ(m) 補強ブロック塀 型枠ブロック塀
空洞ブロックを使用する場合 化粧ブロックを使用する場合
縦筋間隔(mm) ブロックの長さ(mm) 縦筋間隔(mm) 縦筋間隔(mm)
付き 1.6以下 800 400、500、600 600 400
900 450(900)
1.6を超え2.2以下 400 400、500、600 600 400
900 450(900)
なし 1.2以下 800 400、500、600 600 400
900 450(900)
1.2を超え1.6以下 400(800) 400、500、600 400(600) (400)
900 (450)

[備考]( )内数値はD13使用の場合の間隔。

2. ブロック壁体の横筋は横筋用ブロック内に配置し、壁頂には横筋を挿入する。
3. ブロック壁体の横筋は、塀端部において控壁、控柱および門柱に定着させる。
4. ブロック壁体の縦筋は、塀端部においてブロックの空洞部内で重ね継ぎしてはならない。
5. ブロック壁体の縦筋は基礎に定着するほか壁頂横筋に180°フックでかぎ掛けし余長4d以上、または90°フックとする場合は、余長10d以上とする。
6. 控壁の縦筋および横筋は、D10以上の鉄筋とする。横筋は間隔800mm以下とし、縦筋にかぎ掛けしなければならない。 外側部の縦筋は、表8に示す数値以上とする。
7. 控壁の外端部の縦筋は基礎に定着させる。また、控壁頂部横筋はブロック壁体内の縦筋にかぎ掛けするとともに、控壁外端部縦筋に90°折り曲げて重ね継ぎとする。
8.4条2項(2)による鉄筋コンクリート造控柱の主筋は表9に示す数値以上とし、(3)による門柱の縦筋は表10に示す数値以上とする。
帯筋はD10以上とし、150mm以下の間隔で配置する。 また、控柱の主筋および門柱の縦筋の頂部にはフックを設けなければならない。

表8 控壁の縦筋

塀の種類 ブロック塀の高さ(m) 配筋
補強ブロック塀 1.8以下 D10
1.8を超え2.2以下 D13
型枠ブロック塀 1.8以下 D13
1.8を超え2.2以下 D16

表9 控柱の主筋

ブロック塀の高さ(m) 配筋
1.8以下 4-D13
1.8を超え2.2以下 4-D16

表10 門柱の縦筋

ブロック塀の種類 ブロック塀の高さ(m) 角門柱を使用する場合の配筋 平門柱を使用する場合の配筋
門柱の最小厚さ(mm) 門柱の長さ(mm) 配筋
補強ブロック塀 1.8以下 4-D13 180 600 3-D13
800、900 4-D13
1.8を超え2.2以下 4-D16 200 600 3-D16
800、900 4-D16
型枠ブロック塀 1.8以下 4-D13 180 600、800、900 4-D13
1.8を超え2.2以下 4-D16 200 600、800、900 4-D16

[備考](1)最小厚さ:門柱公称厚さより淀の部分を除いた最小の正味厚さをいう。
(2)平門柱の配筋は表中単体当たりの数値である。

9. ブロック塀の交差部には、D13以上の縦筋を配置し、横筋は直交壁に定着するか、直交壁の横筋に重ね継ぎとする。
10. ブロック塀の長手方向の端部で控壁・控柱などの支持部材がない場合は、D13以上の縦筋をその端部に配置する。
11. 鉄筋の定着および重ね継手の長さは、表11に示す数値以上とする。

表11 定着および重ね継手の長さ

種類 構造部分 定着および重ね継手 備考
フックなし フックあり
定着 横筋を控壁、控柱、門柱に定着する場合、縦筋を基礎に定着する場合 40d 30d d: 異形鉄筋で呼び名に用いた数値(mm)
継手 横筋を継ぐ場合 40d 35d
横筋を継ぐ場合 25d

[備考]定着長さは仕口面よりの鉄筋の直線部分とする。90°フックの余長は10d以上とする。

その他のご注意

●鉄筋コンクリート造などの擁壁の上部に塀を設ける場合は、擁壁の施工と連続して行い、縦筋を擁壁に十分定着してください。高さについては図7を守ってください。
●金属フェンスをブロック塀内に組み込むもしくは、設置する場合はフェンスの取扱説明書を良くお読みくださし。
●金属フェンスをブロック塀内に組み込むもしくは、設置する場合は(社)日本建築学会「コンクリートブロック塀設計規準6条金属製フェンス付ブロック塀の構造・配筋」をご参照下さい。

笠木

地震時に笠木ブロックの落下する被害例が非常に多く、特に化粧ブロック用の笠木ブロックは、一般に大きくて相当の重量があり、落下した場合は危険です。必ず笠木ブロック内に壁頂横筋を挿入し、かつ縦筋をかぎ掛けするか、または空洞内部で定着するようにしてください。

7条 金属製フェンス付きブロック塀の構造・配筋

ここでは、金属フェンスを取り付けたブロック塀について、日本建築学会「コンクリートブロック塀設計規準」にて、「金属製フェンス付きブロック塀」の項で定められた規準を元に説明いたします。

150mm厚さの化粧ブロック(正味厚さ120mm以上のもの、目隠しフェンス適用可能)

目隠しフェンスをブロック塀に使用する場合は、格子フェンスと比べてより大きな風圧を受けるため、より空洞の大きいブロックでしっかり固定することが重要になります。
日本建築学会では、連続フェンス付のきの塀(以下、連続フェンス塀)について、「換算高さ」という考え方を用いて以下のように規定があります。
換算高さは、ブロック塀体の実際の高さに、フェンスが受ける風圧の影響を考慮した値を加えて算出する高さです。
換算高さは、1.6m以下でなければなりません。また、換算高さは日本建築学会規準における塀の高さとして扱い、他の規定と照らし合わせます。
※組込フェンス塀については、別の規定があります。詳しくは日本建築学会規準をご確認ください。

    〈連続フェンス塀の規定(日本建築学会規準より一部簡略化して抜粋)〉

  • ①連続フェンス塀の実際の高さ ≦ 2.2m ・・・ G.L. からフェンス上部までの高さです。2.0m以上の場合は正味厚さ150mm以上が必要です。
  • ②ブロック塀体部分の実際の高さ ≦ 1.2m ・・・ G.L. からブロック塀上部までの高さです。
  • ③フェンス部分の実際の高さ ≦ 1.2m ・・・ ブロック塀上部からフェンス上部までの高さです。
  • ④換算高さ ≦ 1.6m ・・・ 「ブロック壁体の実際の高さ」と「加算する高さ(下表より)」の合計が「換算高さ」となります。

ブロック壁体の高さに加算する高さ(m)

使用するブロックの種類 フェンス部分の高さ(m) フェンスの風圧作用面積係数(γ)
γ ≦ 0.4 0.4 ≦ γ ≦ 0.7 0.7 ≦ γ ≦ 1.0
空洞・化粧ブロック 0.6 以下 0.2 0.4 0.5
0.6 を超え0.8 以下 0.3 0.5 0.6
0.8 を超え1.0 以下 0.4 0.6 0.8
1.0 を超え1.2 以下 0.5 0.8 1.0
型枠ブロック 0.6 以下 0.1 0.2 0.3
0.6 を超え0.8 以下 0.2 0.3 0.4
0.8 を超え1.0 以下 0.2 0.4 0.5
1.0 を超え1.2 以下 0.4 0.5 0.6

〔備考)γ:フェンスの風圧作用面積をフェンスの長さと高さの積で除した値
※ 例えば風圧を受ける面積の割合が80%の場合、γ = 0.8 となります。

目隠しフェンスを用いた連続フェンス塀構造の例

下の図は、目隠しフェンスを用いた連続フェンス塀について、換算高さの計算例を示したものです。
風圧を大きく受けるフェンスほど、ブロック壁体に加算する高さが大きくなり、より高い塀として扱われます。

1. 本条に規定する金属製フェンス付きブロック塀(以下、フェンス塀という)は、2条に定める金属製フェンス(以下、フェンスという)を壁体に組み込んだブロック塀(以下、組込フェンス塀という)、およびフェンスを壁体の上部に連続して設置したブロック塀(以下、連続フェンス塀という)をいう。

2.フェンス塀のフェンスおよびその支持・定着部の構造は、風圧力などの荷重および外力に対して安全であるものとする。

3.フェンス塀のフェンス支持金物の壁体への定着は縦筋以外の位置とし、壁頂横筋に支障のないようにする。やむを得ず横筋の配筋が困難な場合は、定着部分を除き横筋を挿入するとともに、壁頂部から2段目のブロックに横筋を配置するものとする。

4. 組込フェンス塀

(1)組込フェンス塀の高さは1.6m以下とし、控壁を設けないことができる。
(2)組込フェンス塀に挿入する縦筋および横筋はD10以上の鉄筋とする。縦筋間隔はブロック壁体の立上がりを有する部分(以下、立上がり壁という)および立上がりのない部分(以下、腰壁という)とも表12に示す数値以下とし、横筋間隔は800mm以下とする。
(3)立上がり壁の頂部横筋は、端部において90°に折り曲げて縦筋に重ね継ぎとするほか、立上がり壁と腰壁が交差する部分は、縦筋・横筋ともD10以上の鉄筋で補強する。

表12 組込フェンス塀の縦筋間隔

ブロック塀の高さ(m) 空洞ブロックを使用する場合 化粧ブロックを使用する場合 型枠ブロックを使用する場合
縦筋間隔(mm) ブロックの長さ(mm) 縦筋間隔(mm) 縦筋間隔(mm)
1.2以下 800 400、500、600 800 800
900 800(900)
1.2を超え1.4以下 800 400、500、600 600(800) 500(800)
900 700(900)
1.4を超え1.6以下 400(800) 400、500、600 400(800) 400(700)
900 500(800)

[備考]( )内数値はD13を使用する場合の間隔

5. 連続フェンス塀

(1)連続フェンス塀の高さは2.2m以下とし、ブロック壁体部分の高さは1.2m以下、フェンス部分の高さは1.2m以下とする。
また、フェンスに作用する地震力および風圧力を考慮して定めた表13に示す数値をブロック壁体の高さに加算した高さ(以下、換算高さという)は1.6m以下でなければならない。
ただし、換算高さは建設される地域の風圧力を適切に評価して求めた値を用いてもよい。
(2)前号で定めた換算高さを塀の高さHとし、3条の規定を満たさなければならない。

表13 ブロック壁体の高さに加算する高さ(m)

使用するブロックの種類 フェンス部分の高さ(m) フェンスの風圧作用面積係数(γ)
γ ≦ 0.4 0.4 ≦ γ ≦ 0.7 0.7 ≦ γ ≦ 1.0
空洞・化粧ブロック 0.6 以下 0.2 0.4 0.5
0.6 を超え0.8 以下 0.3 0.5 0.6
0.8 を超え1.0 以下 0.4 0.6 0.8
1.0 を超え1.2 以下 0.5 0.8 1.0
型枠ブロック 0.6 以下 0.1 0.2 0.3
0.6 を超え0.8 以下 0.2 0.3 0.4
0.8 を超え1.0 以下 0.2 0.4 0.5
1.0 を超え1.2 以下 0.3 0.5 0.6

[備考〕γ:フェンスの風圧作用面積をフェンスの長さと高さとの積で除した値

(3)連続フェンス塀に挿入する縦筋および横筋はD10以上の鉄筋とし、縦筋間隔は換算高さを5条表7のブロック塀の高さに適用して求めた数値以下とし、横筋間隔は800mm以下とする。

8条 施工・その他

1. 塀の施工は、本会編「建築工事標準仕様書JASS 7 メーソンリー工事」および「壁構造配筋指針」による。
2. 基礎工事における根切りに際しては、周辺地盤を乱さないように掘削幅を最小限とし、埋戻し土を十分に突き固める。
3. ブロックは吸水性の小さいものを使用する。やむを得ず吸水性の大きいブロックを使用する場合は、防水処理を行う。
4. 鉄筋に対するコンクリートまたはモルタルのかぶり厚さは、表16に示す数値以上とする。

表16 鉄筋に対するコンクリートまたはモルタルのかぶり厚さ

構造部分 かぶり厚さ(mm)
ブロック壁体、ブロック造の控壁または門柱 20(フェイスシェルの厚さを除く)
鉄筋コンクリート造の控壁または控柱 30
直接土に接する鉄筋コンクリート造の控壁・控柱・門柱の基礎および基礎立上がり部分 40
基礎スラブ 60(捨コンクリート部分を除く)
直接土に接する型枠ブロック造の基礎立上がり部分 40(フェイスシェル厚さの1/2を含む)

ブロック塀の基本

1. まずはあたりまえのことですが、正しい設計と施工を行うことが重要です。頑丈な構造の塀をつくることが出来ます。

2. ブロック塀に期待する耐久年数は約30年です。それには適切なメンテナンスが必要です。特に老朽化した塀は、ブロック塀診断士に判定してもうらうことが効果的です。

3. 塀の構造デザインを工夫することにより、安心なブロック塀と景観をつくることが出来ます。L型の平面を持つ壁体と、花壇とを組み合わせて道路境界から離した例です。

詳細は、社団法人全国建築コンクリートブロック工業会、全国コンクリートブロック工業組合連合会が発行する、「あんしんなブロック塀をめざして」をご覧下さい。

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